
鼻の症状
鼻の症状
アレルギー性鼻炎は、スギ花粉などによって引き起こされる季節性アレルギー(花粉症)と、ダニやハウスダストなどによって引き起こされる通年性アレルギーに大別されます。症状としては、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ・充血などです。
原因が特定できる場合は、可能な限り原因の回避と除去(こまめな掃除など)を行います。治療は薬物療法が広く行われており、症状や重症度に応じて抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬などを用います。目のかゆみや充血を伴うアレルギー性結膜炎では、アレルギー反応を抑える抗アレルギー点眼薬などによって症状を改善します。
急性鼻炎とは鼻粘膜に炎症が及ぶことで起こります。副鼻腔まで炎症がいき、急性鼻副鼻腔炎となることもあります。多くがウイルス感染で、その場合「かぜ、鼻風邪」と表現することも多いです。鼻処置でウイルスや菌量を減少させたり、ネブライザー(薬液を細かい霧状にして吸入する機器)で鼻の粘膜に直接薬剤注入を行います。
Q.鼻吸いだけで受診していいですか。
→A.もちろん問題ありません。鼻処置による鼻吸いは鼻づまりの不快感をとるだけでなく、鼻腔内のウイルスや菌、アレルギー物質量を減らす効果があります。小さなお子さんの場合、ご自身での鼻かみが難しく、それにより慢性化、悪化、中耳炎へと移行することがあります。鼻処置による鼻吸いはお子さんには特に重要と考えており、できるかぎり痛くないように金属製だけでなくシリコン製や極細吸引なども用意し吸引管を使い分けて対応しております。
舌下免疫療法は、アレルギー症状を引き起こす原因となるアレルゲンを少しずつ体内に摂り入れながら徐々にアレルギー反応を弱めていく治療です。花粉症の主な原因のスギ花粉とダニアレルギーに治療が可能です。
治療期間は3~5年で、効果は7~8年間持続するとされています。治療効果として症状を弱めたり、完全に抑え込めることもあります。8割の方に効果があるとされています。
治療開始の時期については、スギ花粉は6月~12月に治療を始めます。ダニアレルギーはいつでも治療を開始できます。
副鼻腔炎は、鼻腔と繋がっている副鼻腔(篩骨洞・上顎洞・前頭洞・蝶形骨洞)に炎症感染が起こる病気です。鼻炎を伴うため、近年では「鼻副鼻腔炎」とも呼ばれるようになっています。症状の持続期間が4週間未満であれば「急性」、4~12週であれば「亜急性」、12週以上であれば「慢性」と言われています。慢性副鼻腔炎はいわゆる「蓄膿」と同じ病気です。
主に鼻づまり、膿のような鼻汁、後鼻漏(こうびろう:鼻汁がのどの方へ流れ落ちてくる症状)、咳や痰、嗅覚障害などをきたし、副鼻腔という限られた空間に膿が溜まるため頻繁に痛みが起こります。
慢性化すると長期間の治療が必要となることや手術治療が必要となります。また手術しても再発しやすい慢性副鼻腔炎(好酸球性副鼻腔炎)であれば特殊な治療が必要な場合もあります。
鼻閉の原因は様々です。アレルギーが原因のこともあれば鼻中隔湾曲(鼻の左右の仕切りが曲がっている)や下鼻甲介の粘膜肥大が起こっていたり、鼻のなかにできものやがんができていることもあります。原因に応じた治療が必要です。鼻中隔湾曲や下鼻甲介の粘膜肥大が原因で、飲み薬で改善しない場合は手術が必要となることも多いです。当院では日帰りで行える下鼻甲介粘膜焼灼手術(サージトロン手術)が施行可能ですので希望の方はご相談ください。
嗅覚障害は、正常ににおいを感じることができなくなる症状のことですが、全く感じないものや、わかりづらいもの、別な匂いに感じるという症状があります。味覚の変化を伴うことも多いです。
嗅覚障害の治療は、まず原因に対する治療を行います。原因治療を行っても嗅覚障害が改善しにくい場合は年単位の治療が必要となったり、リハビリテーションを行っていく必要があります。
ウイルス性や風邪の後遺症で嗅覚障害を生じることはありますが、程度が軽度であれば半年以内に治ることが多く、中等度から高度の障害では半年から年単位となることがあります。また重症の場合は完全に治らない割合も高くなります。
新型コロナウイルスの場合はウイルスの中でもかなり嗅覚障害をきたしやすいウイルスで、また今までのウイルスと経過が違う部分(回復が非常に早いものから、非常に遅いものまで様々)もあり、まだまだわかっていないことも多いです。
当院では、喉頭摘出後の患者さんが少しでも快適な生活を送れるよう、人工鼻外来を開設いたしました。人工鼻の適切な使用は、生活の質(QOL)を大きく左右します。お一人おひとりに寄り添ったサポートを心がけておりますので、どうぞ安心してご相談ください。
まずは通常の外来を受診ください。
人工鼻の適用相談、試用、現在使用中の人工鼻の変更、皮膚トラブルなどあれば人工鼻外来(予約制)を受診いただきます。
開業をする前は兵庫県立がんセンターや姫路医療センターなどで喉頭癌や咽頭癌の治療、手術を行ってきましたが、そのような患者さんから気管孔があると、気管孔のトラブルや人工鼻の処方、また風邪っぽい症状(コロナ・インフルエンザ疑い)の時にどこのクリニックに行けばいいかわからないといったお悩みをよく伺いました。そのような患者さんにも対応できる診療を行えるよう心がけております。
当人工鼻外来では喉頭摘出後の患者さんの健康維持にも貢献できるよう努力して参りますのでよろしくお願いいたします。
正常
喉頭摘出後
喉頭摘出術とは、主に喉頭がん等により、喉頭を外科的に取り除く手術です。この手術によって、食事をする道と呼吸をする道が完全に分かれるため、呼吸は首に開けた永久気管孔を通じて行うことになります。その結果、呼吸が鼻を通らないため加湿力の低下や、気管内異物のリスクが上昇します。
繊毛細胞は、気管や気管支などの呼吸器の内側にある、細かい毛(線毛)のような突起を持った細胞です。
この線毛が絶えず動くことで、吸い込んだホコリ・異物・ウイルスなどを体外へ押し出し、呼吸器を守っています。
気管孔からの呼吸になると加湿力が低下し、粘膜の乾燥により、線毛の活動が低下します。
これらを防ぐためにも、人工鼻の使用が推奨されます。
人工鼻(HME=Heat and Moisture Exchanger)は、呼吸のたびに吐き出される水蒸気と熱を捕集し、次の吸気で加湿・加温することで、気道を守る小さな加湿器の役割を果たします。
アドヒーシブは、人工鼻を気管孔にしっかり固定するための製品です。肌の状態に応じた種類選びが大切です。
人工鼻の付け方にはアドヒーシブ(接着テープ)法とシリコンチューブ法があります。
アドヒーシブは、気管孔周囲に人工鼻を取り付けるための接着テープを貼付する方法です。皮膚かぶれに注意する必要があります。
シリコンチューブ法は気管孔にシリコンチューブを挿入し、それに人工鼻を取り付ける方法です。日々、洗浄して自己で挿入する必要があります。
喉頭摘出者用の人工鼻、アドヒーシブ、シリコンチューブは特定保険医療材料なので保険適用されています。
※初めて人工鼻を使用される方には、約1か月分サンプルセットを無料でご用意いたします。
声を取り戻すための支援も積極的に行っております。お気軽にご相談ください。
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